<今年読んだ本 48>
『介護現場は、なぜ辛いのか 特養老人ホームの終わらない日常』本岡類/新潮社
著者の方は小説家ですが、実際に特別養護老人ホームの介護職員として5ヶ月間働き、その体験をもとに書いたという、ノンフィクション作品です。なので介護現場の話がリアルです。
介護現場は、なぜ辛いのか―特養老人ホームの終わらない日常
本岡 類
新潮社 2009-05
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感想:すごく面白かったです。勉強になりました。介護の仕事の大変さがリアルに書かれていまして、これからの高齢化社会、決して他人事ではないなーということをひしひしと感じさせられました。読んでよかった一冊です。
介護現場の辛さは、大ざっぱにいうと
- 介護技術には色々あって、車椅子からベッドへの移動とか、オムツ交換とか、お年寄りとのコミュニケーションとか、技術的に大変。
- 勤務時間が不規則だし、夜勤もあるし、肉体的に大変。
- 業務内容がマニュアル化されていない。だから、慣れているベテラン職員さんは迷わずに作業を進められるが、新人職員には業務の全体を把握できてなくて、分からないまま作業していたりする。そのためミスがあったり、新人がベテランに理不尽に怒られたりする。
- 業務のシステムにおかしい点や無駄があっても、仕事が忙しすぎて、改善活動や教育に時間を割くことができない。
- ベテランになっても、給料はそんなに上がらず、将来に希望が持ちにくい。
など、様々な面の大変さがあるそうです。そういえば昨年、介護施設に入っている大叔母に面会に行ったとき、入口の扉にはガッチリ鍵が掛かってたし、職員さんはずいぶん忙しそうで、応対も素っ気無かったような気がする…。
読んでいると、とにかく介護業界の業務
その大変さに比べたら、私の今の職場はずいぶん恵まれているんだなあと思います。感謝して仕事せねば。
日本政府が財政とか制度をなんとかして、介護職員の方々がガッポリ儲かるような仕組みを作ってほしいと思いました。
あと、この本は、マンガも含めて私が今まで読んだ全ての本の中で、『ウンコ』という言葉が一番多く出て来る本でした!やはり介護というのは排泄の介助が大きなウエイトを占めるようで、ウンコの話がこれでもかと語られます。これぞリアリティですね。