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『新・作庭記』を読みました!

<今年読んだ本 52>
『新・作庭記』丸山健二文藝春秋
著者は昭和41年に『夏の流れ』という作品で芥川賞を受賞された純文学の小説家の方だそうでして、その方が趣味の庭造りの話を中心にして書いたエッセイです!口絵部分には白い花がいっぱい咲いている庭の写真が載ってますし、本文中では植物名の部分だけがブロック体の太字で強調表記されていて、ページをめくるとまず植物名が目に入るようになっています!だからガーデニング関連の軽い話かと思いきや、文明論とか人間論とか芸術論とかいろいろ難しい話題も出てきたりしました。

新・作庭記新・作庭記

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感想:私はこの著者の本を読んだのは初めてでしたが、予想以上に、小難しかったです!!でもその小難しさが、いかにも芥川賞作家っぽいというか純文学作家っぽいというか、いい感じに硬派な小難しさと言う感じで、けっこう楽しんで読めました。
樹木にカイガラムシが付いて大変だとか、ジネズミが植物を食い荒らして腹が立つとか、庭作りの苦労話が色々書いてあって面白いなーと思いながら読み進めていると、いつのまにか「ひとたび真の文化や芸術から離れてしまった心は…」みたいな芸術論になっていたりします。さすが純文学作家、思索の深さがやたら深いです。


また、物事に対する好き嫌いの感情が非常にストレートに書かれていまして、読んでいて非常に気持ちがいいです!著者の方が気に入った植物はベタ褒めですが、気に入らない物に関しては、かなりボロクソな論評が書かれています。これがすごいんです。
「石庭」に関して書かれた部分を引用しますと、

精神的な庭の代表とも言われている、かの石庭にしても、あれを庭と思ったことは一度もない。むしろ、がさつで、粗雑な、非精神的な、死者のための空間という印象しか受けない。

と、そこまで言わなくても…というぐらいひどい言い様です。でもこのぐらい好き嫌いの態度をはっきりと表明する姿勢が、表現者には必要とされるのでしょう。私も人から怒られない程度に見習いたいと思います。
とりあえず私は大豆モヤシの大豆の部分を美味しいと思ったことは一度もありません。