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松本人志監督の『さや侍』を見ました!

<今年見た映画>
ユナイテッドシネマ阿久比にて、映画『さや侍』を見ました!松本人志監督の第三作のやつです!!お昼の回で、客席の埋まり具合は、ぱらぱらでした。


感想:ものすごく面白かったです!
「三十日の行」の演目はけっこう笑っちゃったし、野見さんたちを自然に応援したくなったし、感動する場面もあって、素直に面白いと思いました。


主演の野見さんにあこがれます。素人なのに映画の主役に抜擢されたというシンデレラストーリーと、中年男性としての人間的味わいの、両面で、うらやましいです。野見さんみたいになりてえなあ。
あと、娘役の熊田聖亜ちゃんの可愛さがたまりません!あのしっかりぶり!私も叱られたいと思いました。最近の子役はスターが多くてすごいですねー。
それと、見張り番役の柄本時生さんもいい感じでした!あの独特の痩せこけて頼りなくて「この人はこれでまともに生きていけるのか?」という雰囲気が好きです。あの感じが松本監督の目に留まってキャスティングされたのでしょうか。今後の活躍に期待したい俳優の方です。柄本さんの持っていた棒が妙に太かったのが、まぬけな感じをより一層引き立てていて、見事な演出だなーと思いました。棒の太さに注目です。


ただ、全体的に、細かい部分で粗が多かったと思います。
笑いを含む場面では、“松本人志監督作品”として構えて見ているからか、若干不自然な点があっても「それも面白さのうちなのだろう」と受け入れることができました(例:三十日の行で使われる舞台装置が大がかり過ぎで、すぐ用意できるとは思えないが、そのつじつまの合わなさもギャグのうちだと思う)。
しかし、笑いを含まない部分では、粗が単に違和感として残り、気になりました(例:冒頭の野見さんが走っているシーンで、野見さんが肩で息をしている映像と、ハァハァという荒い息遣いの音声が、若干合っていない気がした)。


でも大筋では面白かったです!みんなも見たらいいと思うよ!!次回作にも期待します。
以下、順不同で内容に触れて



  • 全体的に、海外進出を強く意識しているんだろうなーということが感じられました。言葉を使わない映像的なギャグがほとんどでしたし。時代劇的な演出も、細かいことにこだわりすぎず、時代劇っぽく見えればよいというふうに見えましたし。殺し屋は、いかにも外国映画に出てくる日本の殺し屋みたいな、いい感じのインチキ臭さがありましたし。海外で受けてほしいです!!まじで
  • とはいえ、時代劇だけど安易に現代語や外来語を使わず、「かご抜け」「出し物」「いい知らせ!いい知らせ!」など、ちゃんと時代劇の範疇を逸脱しない言葉づかいにこだわっていたのは、素晴らしいと思いました。
  • 本筋とはあまり関係ない、殺し屋3人のやりとりは、いい箸休めになってて、良かったです。マッチョな人が面白かった。
  • 三十日の行
    • 最初の果物のやつがかなり好きでした!バカバカしくて面白い!!声を出して笑ってしまいました。野見さんの動きの少なさがまた面白かったです。家に帰ってもそのままなのかよ!という+αの笑いもあるし、娘の「何がしたかったのですか!」という突っ込みもあって、単純なネタなのに相当な面白さでした。松ちゃんすげえ
    • 娘が出し物の面白さを分析する様子は、我々一般視聴者がお笑いの分析・批評をしたがる風潮を暗に皮肉っているのでしょうか?だったら厳しい批判だなーと思いました。
    • 土に埋まって筒からピロピロのやつが大好きでした!これも声を上げて笑いました。
    • 切腹を申し付ける!」のテンポがどんどん速くなってくるのがよかったです!最高でした!松本さんはベタな笑いの名手だというのがよく分かりました。ミスターベータ―とか。
    • 腹踊りとか、あまり面白くない出し物を、長尺でじっくり見せるやつも多かったですねー。「長いよ!」という突っ込みを入れながら、その無駄な場面を楽しむ場面なのでしょう。『クイズ☆タレント名鑑』の、木村カエルとか年末ジャンボ鶴田とかMr.ぶーとかと相通じるものを感じました。
    • 雨て。これもまた基本に忠実なギャグですねー!おもしろい!
    • ふすまはだんだん厚くなるんですねー。ふすまの結末には、むやみな感動がありました。
    • 万華鏡のやつはすごい!!比較的オーソドックスな出し物が多い中、万華鏡だけは発想がぶっ飛んでいて、すごいと思いました。ぶっとんだアイデアの出し物があと2〜3個はあってほしかった。
    • 和風ロデオマシンはよくできてるなー。
    • 一人相撲のときの柄本さんのリアクションは素?おもしろかったー
    • 人間魚拓はきれいに姿が写し取れていましたねー!紙を倒すタイミングなど、補助の役人の人たちの動きに無駄がなくて、何度もリハーサルしたんだろうなーというのが見て取れました。しょうもないことでも、ここまで丁寧にやればこんなに面白くなるんだという、感動がありました。
    • 縄跳びで板尾さんが野見さんを激しくしごいて、娘の心に揺さぶりをかけるところは、まるで教科書のように正統派な展開ですねー!素直によかったです。
    • 普通に、野見さんたちのチームを応援したくなりました。
  • 殿様が野見のことをだんだん好きになっていく感じが良かったです!人の心が徐々に変化していくさまが、みごとに表現されていると思いました!小道具の金平糖の使い方がいいですね!頑として態度を変えない家老との対比もあって、ここの演出は凄い上手だなーと思いました。
  • そういえば國村隼さんは、板尾創路監督作品『板尾創路の脱獄王』にも出てましたね。國村さんの持つシリアスで重厚感のある雰囲気が、お笑いの要素の強い映画に程良いアクセントを加えて、相性がいいのでしょう。板尾創路監督の次回作にも出るらしいですし、芸人映画にひっぱりだこかー。
  • 娘と若君が交流する場面は、いずれも違和感がありました。殿様のご子息と、罪人の娘が、そんなに簡単に会えないでしょー!警備ゆるくない?「境遇が似てる」という設定を強調するためとはいえ、あの場面はちょっと無理矢理さが目立ってしまったと思いました。じゃあ「境遇が似てる」ことをどういう演出で表現すればよかったかというと、代案は思い浮かびません。無念。
  • 成功したわけではなく、ただ僅かな猶予が与えられただけなのに、町の人は喜び過ぎだろう!!
  • 失敗したら切腹で、野見さんの命が掛かっているのに、野見さんチームのメンバーには緊張感や悲壮感が無さすぎないか!?
  • 体を張った笑いが多い中、最後は言葉の笑いで締めくくるのか!?と思いきや衝撃の展開!!急にまともな時代劇映画っぽくなって良かったです!ただ、野見さんの姿と重なるように、娘の過去のセリフの音声が流れるのは、ちょっと説明過多な気がしました。でも説明がないと行動の意味が分からないか。
  • なんといっても素晴らしかったのは、最後のお坊さんの場面です!!!これはすごい!!!「なんでそうなるんだよ!!」とツッコミを入れながら見るべき場面でしょうけど、言葉では本当に感動的なメッセージを伝えているし、くだらない笑いと素直な感動がごちゃまぜになった、わけのわからない感情になりました。いやー松ちゃん、オレの感情もてあそぶやん。
  • 中盤で出てきたネタが、最後で繰り返された!これぞ正しい「天丼」だ!!単に同じギャグを繰り返すのではなく、前に出てきたギャグを“忘れたころにもう一度出す”というのが、天丼の肝心なところでしょう。ところで、お笑い用語の「天丼」という言葉は、電波少年で松本さんがやってた「アメリカ人を笑わせに行こう」で使われたことから広まったんですよね?
  • 終わり方が好きでした。ただ、現代まで残った石の劣化の仕方が、人工的に見えました。あれは実際に石を作ったのか、CGなのかわかりませんが、もうちょっと苔むした感じにしたりて、上手に造ってほしかったです。ラストにはお金をかけてほしかった。
  • なぜ、野見さんは、「さや」にこだわるのかということを、もうちょっとじっくり描いてほしかったです。刀を捨てた理由はあるとして、残った「さや」に執着するのは何故?単にわたくしの読解力がないからわからないだけだという気はするけど