<今年読んだ本>
『新宿スペースインベーダー 〜昭和少年凸凹伝〜』玉袋筋太郎/武田ランダムハウスジャパン
浅草キッドの玉袋筋太郎さんの初小説です!西新宿で過ごした小学5年生の頃のエピソードを、まるで昨日の話かのように活き活きと描いた、自伝的小説です。
リンク
感想:めちゃくちゃ面白かったです!
玉袋さんの文章が大好きです。血が通っていて、生々しくて活き活きしているです。
出てくる小学5年生の頃のエピソードが全部濃いです!ボクシングの興業を打って金をとったり、サラ金を開業して友達に金を貸したりとか、すごすぎます。さすが玉ちゃん。この発想と行動力を、大人になった今こそ見習うべきでしょう。平成の世の中ではアウトな内容が多いけど。
私は小学5年生の頃、ずっとファミコンをやっていた記憶しかありません。小学校からやり直したい。
以下、だいたいの話の内容と、本書を読んで想起された私の思い出話を書きます。
- 一章 ホームレス村田さんとの出会い:公園に住み着いたホームレスのおじさんを退治しようと襲う話。限度を知らない子供っていますね。子供は怖い。わたくしは小学生のころ、上級生にエアガンで撃たれたことがあります。痛くて泣きました。あとさすがに近所にホームレスの人はいませんでした。
- 二章 新宿御苑大冒険:新宿御苑でざりがにをとり、ホームレスのおじさんと仲良くなる話。わたくしもよく近所のどぶ川でざりがにをとって遊びました。ざりがに釣りではなく、手づかみで取ってました。
- 三章 恐怖の男ダッチョ:6年生の暴力的なガキ大将ダッチョの話。大人数でのドロケイを企画するがダッチョに台無しにされる。わたくしはいじめられっこで、小学生の時は不特定多数の上級生に散発的にいじめられており、中学生になると部活の先輩に集中的にいじめられていました。幸い、金銭的な被害はなかったですが、あのころは毎日辛かった。
- 四章 ボクシング大会in水道局:同学年同志が試合をするボクシングの興業を企画、開催し、大儲けする話。ズッコケ3人組シリーズの『うわさのズッコケ株式会社』のリアル版みたいな話ですね!この企画力はすげえ。
- 五章 地獄のサラ金開業:ボクシングの興業で儲けた金を同級生に貸して、利子で儲けようとする話。この本のに出てくる小学生は、毎日毎日、駄菓子を買ったりコーラを買ったり銭湯に行ったり、お金持ちで、うらやましいです!さすが東京の商売屋さんの子供だ。わたくしは駄菓子を買うのは週に1度ぐらいだった。
- 六章 若松2世とカベさん:神宮球場へ野球を見に行って、選手と交流する話。野球は見に行ったことないなーっ
- 七章 足柄学園物語:林間学校にこっそりテレビを持って行って、こっそりテレビを見ようとする話。
- 八章 お盆休みなんて大嫌い:お盆休みになると友達はみんな帰省してしまって、東京が実家の玉袋さんは寂しいという話。
- 九章 ぴょこたん:おばあちゃんの話。わたくしもおばあちゃんにはいつもお小遣いをもらっていました。おばあちゃんありがとう!!
- 十章 決闘ドッジボール対決!:対立した下級生とドッジボールで決着をつける話。小学生時代のエピソードとして王道ですね!!熱血です!ドッジボールの試合の描写がスピード感にあふれていて素晴らしいです。わたくしはドッジボールは当たると痛いから大嫌いでした。ドッジボールで相手チームが投げたボールをキャッチしたことは、今までの生涯で一度もありません。情けない。
- 十一章 憧れの男たち:ホームレスのおじさんたちとの交流の話。偏見のなさが素晴らしいです。
- 最終章 春の別れ:別れの話。いじめっ子の上級生が卒業した時の、自由の喜びは、すごく共感できました。しかし1年後に中学校でいじめっ子に再会するという時限爆弾のような恐怖もあるんですよね。
これは熱い本でした!!全編にわたってすごく楽しいエピソードのオンパレードです!そしてラストは、楽しい時間にも、いつか終わりが来るという寂しさの余韻があり、なんだか泣けます。
わたくしの小学校時代の思い出を全部集めても、この本の100分の1の内容も無いと思います。小学校からやり直したい。それは不可能なのでせめて今後の人生を後悔しないようにがんばりたい。