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岸本佐知子(編訳)短編小説集『居心地の悪い部屋』を読みました!

<今年読んだ本 67> 
『居心地の悪い部屋』岸本佐知子(編訳)/角川書店
岸本佐知子先生の翻訳による、英語文学の短編小説集です!奇妙な話ばかり12作品です。

感想:ものすごく面白かったです!訳者あとがきで書かれている意図通り、読後感の悪さをたっぷりと味わいました。
全作品面白いですが、最後の『喜びと哀愁の野球トリビア・クイズ』が特に好きです。メジャーリーグの架空の選手の架空の記録のエピソードを、細かい記述と綿密な感情描写であたかも現実のように描いた作品です。こんな形式があったとは驚きました。

以下各作品の感想

  • 『ヘベはジャリを殺す』ブライアン・エヴンソン:どんな状況なのかまったくわからない!目が痛い
  • 『チャメトラ』ルイス・アルベルト・ウレア:幻想的だ。メキシコのお酒「プルケ」という言葉が出てきて、あー『もやしもん』で川浜たちが作ってたやつだなーと思いました。
  • 『あざ』アンナ・カヴァン:国家権力がこわいです。
  • 『来訪者』ジュディ・パドニッツ:電話で相手の言ってることがわけわかんなくて意思の疎通ができない感じがこわいです。
  • 『どう眠った?』ポール・グレノン:言葉遊びっぽくて楽しい
  • 『父、まばたきもせず』ブライアン・エブンソン:純文学的で格好いい
  • 『分身』リッキー・デュコーネイ:星新一のショートショートか何かで、キャベツの刺青を彫ったらそのキャベツから人が出てきて人格を乗っ取られる話を思い出しました。でもこれはハッピーエンドで意外
  • 『潜水夫 ダイバー』ルイス・ロビンソン:うざいダイバーのうざさがリアルでした
  • 『やあ!やってるかい!』ジョイス・キャロルオーツ:コミカルで笑ったけど、最後のまさかの一人称に驚きました
  • 『ささやき』レイ・ヴクサヴィッチ:最後の一行こわっ
  • 『ケーキ』ステイシー・レヴィーン:価値観が理解できないところがいい感じ
  • 『喜びと哀愁の野球トリビア・クイズ』ケン・カルファス:最初は事実を元にした小説かと思いました。架空だったんですね